スマブラSPをやっていたら登場キャラの参戦動画を見たことあると思います。
あの参戦動画って任天堂が作ってないって知ってました?
「え!?マジで?」
「じゃあいったいどこが作ってるの??」
そう思ったあなたの疑問を解決します。
- CGパートは映像会社が作っている
- 参戦ムービーはゲームパートとCGパートに分かれている
- ゲームパート/CGパートでは使っているモデルが違う
以上がこの記事の結論になります。
この記事を読んだら
「へぇ~あの映画を作った会社が作ってるんだ!」
って言う気持ちになると思います。
私は現役のCGクリエイターで、現在は渋谷のゲーム会社でCG制作に携わってます。詳しくはこちら。
学生時代はCG映像もいくつか作ったことがあるので、その経験を元に記事を書いていきます。
この記事は
『ファミ通No.1579桜井政博のゲームについて思う事.Vol583参戦ムービーの作り方【前編】』
を元に構成されています。
コラムの記事は桜井政博著書『桜井政博のゲームについて思うこと 2015-2019』にも載ってますので、良かったら購入してみてください。
CGパートを作っているのはCG映像会社【スマブラSP】
まずは結論
- 制作会社…デジタルフロンティア
- 代表作…実写版BLEAH、実写版いぬやしき
スマブラSPの参戦動画は『デジタルフロンティ』と言うCG映像会社が作っています。
『実写版BLEAH』、『実写版いぬやしき』、『GANT:O』といった作品が有名です。
結論が出たのでここで終わってもいいんですが、それだと物足りないので、ここからはスマブラSPの参戦動画の作り方を解説していきます。
ゲームパートとCGパートに分かれている【スマブラSP】
「ゲームパートとCGパートが分かれている?」
「それってつまりどういう事?」
このように思う方がほとんどだと思うので、解説していきます。
ゲームパート/CGパートでモデルが違う【スマブラSP】
ゲームパート、CGパート、それぞれで使っているモデルが違います。
画像の左がゲームパート、右がCGパートです。
特徴の違い
- ゲームパート…色かずが少なくちょっとカクばっている
- CGパート…色かずが多く、なめらかな作り
画像を見比べたら分かると思いますが、CGパートの方が滑らかな作りで、ゲームパートはちょっとディティールが低いですよね。
ゲームパートとCGパートで使うモデルが違う理由【スマブラSP】
ゲームパートとCGパートで使うモデルが違う理由は『使える容量の差』です。
- ゲームパート…使えるデータ量に制限がある
- CGパート…使えるデータ量に制限がほとんど無い
ローポリゴンとハイポリゴン【スマブラSP】
- ローポリゴン…使っているデータ量が少ない=容量が軽い
- ハイポリゴン…使っているデータ量が多い=容量が重い
画像の左側が『ローポリゴン』、右側が『ハイポリゴン』と言われるモデルです。
画像を見て分かるようにハイポリゴンの方がツルっとしているのが分かります。
ハイポリゴン=見た目がキレイ=容量が重い
と思っていいただければ、問題ありません
ポリゴンってなに?って人はこちらの『【初心者向け】ポリゴンとは?【3DCG】の記事を参考にして下さい。
ゲームはローポリゴンが使われる【スマブラSP】
ゲームではコントローラーを使って動く『リアルタイム性』が重視されます。
そのため、コントローラーからの「動け!」と言う命令に対して素早く反応できるように、処理を軽くしなければなりません。
ゲームはレスポンスが命ですからね。
レスポス重視のため、限られた容量を『モデルをキレイに描画させる』って言う事のために使ってられません。
なのでモデル一体にかかる容量を減らす事が求められます。
そのため、一体のモデルに対して使える色の数が減るため、見た目に差が出てきます。
CGパートはハイポリゴンが使われる【スマブラSP】
ゲーム用のモデルに制限がある一方で、CGパートは容量の制限は特にありません。
CGのパートではコントローラーを使って操作するって事はありませんからね。
リアルタイム性を重視されないので、いくらでもモデルをキレイに作る事が出来ます。
色をたくさん使ったり、より滑らかな作りにしたりとディティールを可能な限り作り込みます。
その結果、一体のモデルがとても豪華な作りになります。
このようにゲーム用/CGパート用で明確にモデルの使い分けがされている事がわかります。
ただ近年ではハードの進化により、ゲーム用のモデルでもハイクオリティなものが作れるようになってきました。
ゲームも映画さながらの時代になってきているので、これからの進化が楽しみですね!
【再び】CGパートを作っているのはCG映像会社【スマブラSP】
再び結論
- 制作会社…デジタルフロンティア
- 代表作…実写版BLEAH、実写版いぬやしき
記事の最初でも書きましたが、CGパートはCG映像会社の『デジタルフロンティア』が制作しています。
スマブラシリーズは『スマブラfor~』からの付き合いだそうです。
参戦動画を作る流れ【スマブラSP】
スマブラSPの参戦動画は以下のような手順で作られてます。
- ディレクターによるシナリオ作成
- シナリオを元に絵コンテ作成
- 絵コンテを元にビデオコンテの作成
- ビデオコンテを元にCG映像作成
- ディレクターのチェック→完成
ディレクターによるシナリオ作成【スマブラSP】
動画全体の大筋をディレクターが考案。
この段階でどんな演出にするかといったアイデア、やりたい事がハッキリしている。
それをカット(シーンの切り替わり)ごとに分けて、音楽やセリフを詳細に記載しCG会社と打ち合わせをする。
ディレクター…桜井政博(さくらいまさひろ)氏。『星のカービィシリーズ』や『スマブラシリーズ』を掛けた人
シナリオを元に絵コンテ作成【スマブラSP】
シナリオを元に絵コンテが作られます。
このタイミングからCG会社との打ち合わせをして、ムービーの具体的な構図や演出を決めていきます。
※画像は初代スマブラのOPムービーの絵コンテ。
絵コンテを元にビデオコンテを作成【スマブラSP】
ビデオコンテとは?
絵コンテをつなげた静止画のムービーの事です。
このビデオコンテで映像全体の時間やテンポ感、タイミングを決めます。
ビデオコンテを元にCG映像を作成【スマブラSP】
ディレクターの演出したい事が具体的にイメージ出来て、ようやくCG制作がスタートします。
コンテ段階でやりたい事を明確にしておかないと、後になってから「イメージと違う!!」って事になりかねません。
作業の出戻りを少なくするためにも、しっかしとした事前準備が必要です。
ディレクターのチェック→完成【スマブラSP】
ディレクターチェックのタイミング
- カメラワークや、キャラの動きがついた仮の映像
- ある程度、色みの付いた仮の映像
- 髪、衣服といった揺れもの、火花と言ったエフェクトがついた本番クオリティの映像
CG映像は制作の途中で、ディレクターのチェックが入ります。
制作の途中でチェックをする事で、方向性やクオリティを確認します。
もしミスがあっても、途中なら出戻りが少なく済みます。
こうやって進捗とクオリティを確認しながら制作し、ディレクターが問題ないと判断したものが製品として私たちの手元に届くわけです!
スマブラSPの参戦動画を作るには時間がかかる
スマブラの参戦動画がどのようにして作られているか、理解できましたか?
1つの参戦ムービーを作るのには、割と時間がかかっている事が分かったと思います。
しかし、こうやって時間をかけて作った動画が、多くの人を楽しませてくれています。
今度はあなたがCGのムービーを作って、多くの人を楽しませてみてはどうでしょうか?